映画「イングリッシュ・ペイシェント」あらすじ(ネタバレ)感想と評価
映画「イングリッシュ・ペイシェント」
砂漠を舞台にした映画で真っ先に頭に浮かぶのは、「アラビアのロレンス」とこの作品。
とにかく砂漠の映像が美しいです。
冒頭で、小さな飛行機の影が砂漠に映ります。
その飛行機には、操縦している男と、穏やかに眠っているかのような美しい女が乗っています。
時は戦時下で、飛行機は攻撃を受け、墜落して炎上してしまいます…
大やけどを負った男は、砂漠の民に助けられます。
この冒頭シーン、エキゾチックで哀愁を誘う音楽が流れ、一気に物語の世界に引き込まれてしまいました。
そして展開されるのは、第二次世界大戦下の北アフリカを舞台にした、悲恋の物語。
まるで砂漠の太陽のように狂おしく焼き付けるような大人の男女の愛の物語です。
戦時下なので、明日死ぬかもわからない身の上にあるため、否が応にも恋愛は盛り上がるのですね。
愛と冒険と友情と裏切りと。
複雑にからみあった、緻密な人間関係が織り成されます。
映画のあらすじ、感想と評価 *ネタバレ注意
ハンナ(ジュリエット・ビノシュ)という看護婦が、イタリアの片田舎の廃墟の屋敷で、大やけどをした謎の男(レイフ・ファインズ)の介護をします。
その男は イングリッシュ・ペイシェント(イギリス人の患者)と呼ばれています。
ハンナは自分の愛した人達がみんな戦争で死んでしまうという悲劇の過去を背負った女性。
ハンナとイギリス人の患者とは、お互いの悲劇によって運命を結び合わされ、静かに心を通わせ合っているかのようでした。
ジュリエット・ビノシュが悲しい過去を持ちながらも、少女のような純粋さと気丈なたくましさのある女性を印象的に演じていました。
イギリス人の患者はハンナの介護を受けながら、徐々に過去を回想していきます。
それはキャサリンという女性との悲恋の物語でした。
砂漠世界のヒロイン・キャサリンを演じるクリスティン・スコット・トーマスは繊細で知的な美しさが魅力的。
レイフ・ファインズは上品で寡黙ながらも、激しい熱情を秘めた男性・アルマーシを演じていて素敵でした。
アルマーシはキャサリンが仲間の妻でありながら彼女に恋をしてしまいます。
二人は許されざる恋に身を投じて、結果として凄惨な悲劇が引き起こされることに…
人目を忍ぶ激しい恋。
キャサリンの夫がそのことを知ってしまい、絶望に駆られてキャサリンとアルマーシをも巻き込んで心中を図ろうとします。
彼が飛行機でアルマーシをめがけて突進し、墜落してしまうシーンは大迫力でした。
まるで砂漠が人間の激情を駆り立てて狂わせ、破滅へと追い込んでいくかのようです。
そしてアルマーシが傷ついたキャサリンを抱き上げて、砂漠を歩くシーン。
とても美しくて悲しく、涙が出てきました。
二人の愛は、キャサリンを失い、大やけどを負ったアルマーシの記憶の中でずっと生き続けていて、彼は過去を回想するたびに砂漠の世界へと戻っていく。
焼け付くような、厳しく、残酷で、美しい砂漠へ。
壮大なスケールで展開される、ロマンあふれる切ない恋愛映画でした。
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