映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」あらすじ(ネタバレ)感想と評価
映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」
キューバ革命の指導者として有名な、チェ・ゲバラの若いころが描かれた作品です。
「これは偉業の物語ではない」とナレーションで冒頭から語られますが、そのとおり、革命家チェ・ゲバラの伝記として観るよりは、冒険心にあふれた普通の青年が旅を通して成長していく物語として観たほうがしっくりと心に響く映画だと思いました。
あらすじ、感想と評価 *ネタバレ注意
23歳のエルネスト(チェ・ゲバラの名前)は、医師になるための学業を中断して、29歳の友人アルベルトとともに、モーターバイクに乗って南米大陸を縦断する旅へ出かけます。
おんぼろのモーターバイクに二人乗りして、広大な南米大陸を疾走していく。
南米大陸って馴染みがなく、写真や映像でもほとんど見たことないですが、雄大な山々があり、大自然のひろがる美しいところですね。
埃っぽい道をひたすら走る二人と、まるでこちらも一緒に旅をしているかのように臨場感があり、ワクワクしながら観ることができました。
バイクはしょっちゅう転倒して二人は転ぶし、テントは川に流されるし、モーターバイクは途中で壊れてしまうし、旅はトラブル続き。
でも若い二人はめげることなく、歩いたりヒッチハイクをしたりしながら、旅を続けていきます。
途中でゲバラのガールフレンドに会いに行ったりするシーンもあって・・・
女性に対して純情で不器用で、ダンスが苦手なゲバラがほほえましかったです(*^^*)
「革命家」として名高いけれど、23歳の頃はほんとうに普通の青年だったのだなあ。
「ばか」がつくほどの正直者で、自分の感情をまっすぐにしか伝えることのできないゲバラ。
それに対して年長の友人アルベルトは、陽気でお調子者の女好き。
このアルベルトは奔放で自分勝手なようでありながら、実は兄のようにゲバラを見守っている。
この二人のコンビが最高の組み合わせで、ケンカばかりしながらも深い友情が伝わってきました。
二人の道行きは波乱万丈で結構はちゃめちゃなのですが、南米の壮大な風景の中の冒険旅行は素晴らしく、私が男性だったらこんな無茶な旅をしてみたかったな、と観ていて羨ましくなってしまうほど・・・。
旅を通して二人は様々な人たちに出会い、南米の現実に触れていきます。
特にバイクが壊れてからは、ひたすら歩いているうちにその土地に暮らす人々とじかに接することになります。
家を追い出されて警察に追われている共産主義者や、土地を奪われた先住民たちと知り合い、ゲバラは彼らに共感と親しみを抱きます。
共産主義の夫婦に、「あなたが旅をする目的は何?」と訊かれ、ゲバラが
「旅をすること」と答えたのが印象的でした。
旅をすること自体が目的だったゲバラ。その旅を通して彼は自分の進むべき道を見出していくことになります。
彼らとの出会いは、やがてゲバラが革命家となるきっかけとなるのですが、はっきりと思想が語られることはなく、あくまで青年・エルネストが出会いを通して成長していく姿が丹念に描かれています。
それが1人の青年の成長の物語として、胸に深く響きました。
人生初の冒険旅行にワクワクしながらはしゃいでいたエルネストが、旅の中盤から表情が変わっていき、後のゲバラを思い起こさせるような深い思想家の顔つきへと変化していく・・・
その描き方がみごとでした。主演の二人もとても良かった♪
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