映画「愛する人」あらすじ(ネタバレ)感想と評価
映画「愛する人」
とても良い作品ですが、あまりメジャーではないのでしょうか?
「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア監督の作品です。
「彼女を見ればわかること」と同様に、女性に寄り添った映画となっています。
女性の繊細な心の動きや、強さと弱さ、美しさが(そして時には嫌らしさも含めて)丁寧に表現されていました。
複数の女性たちの物語が描かれ、「母と娘」という絆により、繋がり合っていきます。
映画のあらすじ、感想と評価 *ネタバレ注意
51歳のカレン(アネット・ベニング)は病院でセラピストとして働いてます。
彼女は14歳のときに女の子を出産しましたが、自分で育てることを母親に反対され、その子は養子に出されてしまいます。
彼女はそのことに深く傷ついており、結婚もせず、自分の幸せを追い求めることもなく、ただ会ったこともない娘を想い続けています。
ちょっと神経質で、頑なな性格で、親しい友人もいなそう。
そんなカレンは娘に出す当てのない手紙を書き続けています。
その手紙の中だけ、彼女は自分の心の内を語ることが出来るようでした。
一方で、養子に出された娘のエリザベス(ナオミ・ワッツ)は今37歳。
彼女は有能な弁護士になっていて、そのことに誇りを持っています。
彼女は結婚したことはなく、するつもりもない。
「自立していることを最も大切だと考えている」と彼女は言います。
男性とも気軽に情事を楽しむだけで、それ以上の関係を求めていません。
一見、自立した強い女性でありながら、満たされない孤独を抱えているエリザベス。
他人と関わりを持つことを初めから諦めているかのような、ナオミ・ワッツの寂しげな微笑みが印象的でした。
彼女は心の底では実の母親を求めているのだと思います。
でも「会わない方がいいのよ」と強がる姿が切ない。
そんなエリザベスが上司の子を妊娠したのをきっかけに、実の母親を探す決心をします。
ちょうど同じ時期に、カレンの方にも転機が訪れます。
彼女を理解し優しく受け止めてくれる男性と出会い、結婚するのです。
彼に「娘さんを探すべきだよ」と言われ、娘に拒絶されることをひどく恐れていたカレンですが、娘を探そうと行動を起こします。
37年間一度も会ったこともない、実の母と娘。
彼女たちがお互いのことを想い合い、運命が引き寄せられていく様子は見ていてとても感動的でした。
カレンを演じたアネット・ベニングの表情の変化がすばらしいです。
初めは頑なだったのが、ある男性と出会ったことで、ほぐれて柔らかくなり、内側から生き生きと輝いていく。
カレンはこんなに美しい女性だったのだな、と思いました。
しかし、強くお互いを思いやり、運命が引き寄せられながらも、カレンとエリザベスは結局会うことができません。
この結末は悲しすぎて…。
でも二人の絆は新しい命の誕生により、結晶し、新たな未来へと繋がっていくことになります。
命のつながり、その不思議さと美しさ、その輝きに、静かに心を照らされるような物語でした。
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